「2WAYボストンバッグ」
2011-4-21
これは、ヌイトメル第2号の鞄です。
鞄を作ることになるとは思ってもみなかった頃から、大きい革鞄は苦手でした。
革鞄は使うほどに味もでて、ケアをすれば長く使えるし好きなんだけど、大きくなると重くなるから
大きいバッグを買うときは「布」か「布×革のコンビ」と決めていました。
大きくてもナイロンバッグは軽くて、今でも重宝しています。
帆布製の鞄は、老舗から新しいブランドまで豊富にあるし、形も大きさも種類も品質も多様で、お手頃価格で素敵な鞄もたくさんあり
わたしも布製のカバンは好きで、欲しいなぁと思っています。
でも、ヌイトメルで同じようなものを作ってもしょうがない。
綿や麻帆布製の鞄に関しては、わたしたちくらいの規模では、布の仕入れも製作コストも、さらには売る値段も高くなってしまいます。
それでも日常的に大きいカバンはやっぱり必要だし、それにはどうしても布を使いたいから、もし作るなら上品でラフなざっくりした鞄にしようと何となく考えていました。
そんな時に出合った「杞柳布:kiryu-fu」という素材。
コットン×シルクの生地を一枚づつ丁寧に草木染めした贅沢な素材。
“上品でラフ”というキーワードにぴったりです。
杞柳布は手触りは柔らかく軽いのですが、帆布のように肉厚で鞄にぴったりの布です。
けれども、織りの組織は緻密ながらほつれやすくもなっており、量産するにはとても扱いにくい素材です。
まさしく少量生産、小規模工場向きの素材ではないでしょうか。
素材の良さを活かすために、革にもこだわって、耐久性も考えて、使うほどに味わいの増す、上質な牛のヌメ革を使います。
今回使うのは、フルベジタブルタンニンなめし、オイル仕上げのイタリア製の牛革です。
作る工程にも手を抜きません。
全ての革パーツのコバ(裁断した断面)は専用の液を縫った後、しっかり磨きます。
縫製の工程によって、磨く順序も様々です。
↓ これは完成に近い製品の状態で、磨きの作業をしています。
ハンドル部分には、”漉き盛り”というテクニックを盛り込みます。
実はこういう手間のかかる様々な工程の有無で、製品の仕上がりと雰囲気が全く違ってくるのです。
また機会があれば、そういう”つくること”の具体的なお話も書いていこうと思います。
これには“ソヨゴ染め”の杞柳布を使っています。
どんな季節でも、どんな服装でも、なんとなく馴染みます。
しかも、荷物がたっぷり入る。
底からファスナー部分の端にベルトが通してあり、内容量によって鞄を変形させることができます。
パンパンにつめても、何も入っていなくても、それなりに見える。
中には大きめのファスナーポケットが2つ内蔵されています。
肩からもかけられる、手にも持てる、ぎりぎりの絶妙な長さのハンドル。
ハンドルは短めのほうが、フォルムがカッコイイので、もっとハンドルを短くして、取り外せるワンショルダーを付けるバージョンも考案中です。
↓ 使い込んだ第1号「kiryu-fu」ボストンバッグ。今、とっても重宝しています。
現在の商品は、この第1号から改良を重ねて完成しました。
素材違いで、2つ作ってみました。
ディアオイルヌバック × オイルヌメ革
革×革のボストンも、このディアなら重くない!
ビンテージファブリック × シボ加工牛革
アンティークショップで見つけたアメリカのデッドストック生地を使ってみました。
コンビに使う革は、革業界では有名な「栃木レザー」製、ベジタブルタンニンなめしのヌメ革をもんでシボを出す加工を施したレザー。
ソフトで肉厚な白い革は、使ううちに馴染んで飴色になります。
まだまだバリエーションが作れそうな予感です。
いいものができたら、また紹介します。
商品ページはこちら → キリューフ2WAYボストンバッグ