苧麻の苧引きに

2012-6-9

今日は、再び愛知郡愛荘町の「近江上布伝統産業会館」へ訪問してきました。

今回は、「麻のほんまもん体験」ということで、“苧麻(ちょま)の苧(お)引き”という作業の体験。
紡績という技術がなかった古代からの伝統技法、植物の繊維を引いて取り出す方法です。

 

↓苧麻(この地域で栽培されたもの・カラムシともいいます)です。
今でも人の手の入っていない琵琶湖周辺に自生しているそうです。
葉を取った茎の部分を使用します。

 

まず外皮を剥き(中の芯から分離させて)、皮を水に浸して柔らかくします。
昔は乾燥させた中の芯をお盆などの祭事でさい箸やたいまつ、他にも色々と利用されていたそうです。

  

外皮と芯の間に繊維が通っているので、画像のような器具を使ってその繊維から外皮をはがしていきます。

 

力をかけながら丁寧に、端から外皮を剥がしていくと、白い繊維の束になります。
初めてなので画像の繊維はあまり白くないですが・・・
不純物を取り除いた繊維を晒すことでさらに真っ白な繊維になるとのこと。
干して日光に晒し、糸にする分だけ湿らせてから一定の細さで裂いていき、先と先を撚り繋げて1本の糸にします。
この時、根元側の先と先端側の先を揃えて一方方向で繋げないといけないそうです。
1本につきだいたい70㎝くらいの長さでしょうか。
長くつないで(糸積みといいます)から、糸車という器具で撚って糸にし、藍などで染色して、今度はこれを機にかけて布にするのです。
なんと気の遠くなる作業!

 

近江上布が栄えていた時代のこの地域では、この時期に苧麻から繊維を取り出す作業をし、あとは1年中毎晩のように糸を裂いて繋げるというのが普通のことだったそうです。

伝統工芸士による絣(カスリ)という模様織の実演。
これはこれでものすごく手間のかかった織物で、長くなるので今回は割愛します。

 
 
苧麻はラミーの一種で、リネンに比べてチクチクゴワゴワする、というイメージがあるようです。
けれど丁寧に引いた苧麻は白くツルっとしていますのでその布はチクチクすることはなく、むしろそのシャリ感が好きというツウのかたもいらっしゃるそうです。

本来の近江上布は苧麻でなく大麻(おおあさ)が使用されていたようです。
大麻は繊維が苧麻よりも細く短いため、製錬や晒しにより短繊維同士の結束が弱まると糸が柔らかくなりやすいとのこと。
大麻は日本では栽培が規制されているため、現在は苧麻栽培に限定されているそうです。
とはいえ、このようにして糸から引いて織った苧麻の布はほとんど見る機会がありません。
この近江上布産業会館では、この技術と繊維産業を守りたいとがんばっていらっしゃいます。
これからも、時々勉強のために訪れたいです。
 
 
徳島の藍住町からの本藍染め体験もやってました。今回は見学だけ。

 

会館内はお店にもなっているので、滋賀県産のリネン生地やリネンテープ、麻の寝具や洋服麻の手ぬぐいなども取り扱われています。

そして、前に来た時にここで買った白いリネンの本麻手ぬぐいがとてもいいです。
麻なので乾くのが早く、つるりとしててヒンヤリ気持ちいい。
この夏濡れ手ぬぐいや頭に巻くのに重宝しそうです。

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