福島訪問レポート(2)

2011-10-25

福島2日目。
レポートは、わたし(アツコ)が書きます。

午前中から保育園「そらまめ」でワークショップをしました。

 

新聞紙を使った遊び“新聞王国”、木のパチンコ、アクセサリー作り。
子供たちや保護者さんたちにも、おおいに楽しんでいただけたようでした。

     

この保育園は、福島で一番早く除染を始めた場所。
その取り組みは多くのメディアで取り上げられ、絵本(Amazonでも販売中)にもなっています。

“国際環境NGOグリーンピース”記事より

“現代ビジネス”より

園長先生はじめ、職員や保護者の方々に、色々とお話を伺いました。
土と草のある場所に放射性物質が溜まりやすいという現実。
土と自然を大切にする保育をされてきた園長先生の無念さは、計り知れないと思います。
除染を日課にして対応をされてきた現在の場所から、違う場所への移転も決まったとのこと。
子供たちを守るために日々努力されているその姿勢に頭が下がります。

午後から相馬市の海岸付近を視察。
映像や写真で見ると実際見るとでは、やっぱり全然違ったみたいです。
あれほど、百聞は一見にしかず、という言葉を実感することはない、と言っていました。

未だに海に浮かんでいるバス、家の基礎土台だけ残る住宅地跡、草が生い茂った線路、廃墟になった駅のプラットフォーム・・・

       

海岸沿いの津波跡も壮絶ですが、同じく悲惨なのが放射能による汚染地域。
福島県は、とても美しい、壮大な田園地帯なんですね。
街も普通の街並み。
でも、田んぼも空き地も公園も、草ボーボーで手入れがされていない。
公園にも広場にも、人がいない。
それに、なんともいえないやりきれなさを感じたと。

1泊4日という強行スケジュールの中、計画通りの内容をこなし、それほど疲労をため込まず帰ってこられたのも、男6人同じ目的を共有して、協力し合い行動したからだと、帰宅後は感慨にふけっていました。
大人になると、団体のスポーツやアウトドアをやらない限り、あんまりこういう機会ないですものね。

この福島行きの件で、色々なことを考えさせられました。
行くまでにもそれなりに調査して情報を集めたり討論したりして、より考えが深まりましたし、実際に行ってみると日本が失ったものの大きさを改めて思い知ったと言っています。

最近、「除染」という言葉をよく耳にします。
東大のアイソトープ総合センターの児玉教授が国会で発言してから、幾度となくメディアで報道されています。
放射性物質がたまった場所をきれいにするということで、実際は汚れた表面の土を削り取り、地面の深い所に埋め直す、ということらしいです。
除染すると実際に放射線数値が下がり、一応は日常生活が送れるそうで、福島では数値が低いとされている地域、また除染された場所ではマスクをしている人はほとんど見かけないとのこと。

福島では借りもののガイガーカウンターで放射線量を測定しながら行動していたそうですが、風で空気も放射性物質も動くので、測る場所・位置によって全然違うようです。

 

途中に寄った除染されていないと思われる公園で試しに放射線量を計測してみると、数値がどんどん上がる。
除染した場所でも、していない場所と隣り合わせであれば、少し風が吹けばすぐに数値が上がる。
地面の近くと高い場所、道の中央と端、土とコンクリートでも違うようです。

放射性物質とのイタチごっこの印象を受けました。
結局は除染しないより、したほうがマシだから、とのこと。
実際生活している人が残っている限りは、放射性物質を取り除いて少しでも被ばく量を減らしていくことが重要だし、除染をし続けることが、今福島に住むという選択をされている人の宿命のようになっています。

前回も書いていますが、福島市にも数多くのホットスポットが存在しており、そらまめのある渡利地区は比較的高い線量が計測されている地域です。
けれど未だに国からは避難地域として指定されず、残って生活されている世帯も多いそうです。
今、この地域に住む子供たちを避難させるべく保護者たちが署名を集めています。

詳細・署名はこちらから(10月末締切) → 渡利の子どもたちを守る会

なぜ、避難しない、できないのか。
色々な理由があるそうですが、経済的な理由のほかにも、介護が必要だったり転院が困難な入院中のご家族がいらっしゃったり、障がい者やそのご家族であったり、医療従事者、公務員、保育や学校関係者などその地域からいなくなると残った市民の生活に支障をきたすような職業の方だったり・・・

この問題については10/17の報道ステーションでもトップで報道されていました。

ニュース動画はこちらから → http://www.twitvid.com/JQ572

除染が先か、避難が先か。
今、福島で問題になっているのはそこなんですよね。

除染に関しても、色々と意見が割れているようです。
ものすごくお金がかかるそうです。補償するよりもお金がかかるという意見も。
そして放射性物質はその場所からはなくなっても、消えてなくなりはせず、違う場所へ移動するだけなのです。
瓦礫、土、その他放射性物質を含むゴミを捨てる場所がない。

瓦礫受け入れの問題は、昨日、大阪でも会議が開かれていました

瓦礫拡散問題とは → 震災廃棄物を考える会・京都

なんにしても、場当たり的な対応ばかりを繰り返していては、国家予算を浪費するだけのような気もします。

何とかできないのか、考えても簡単には答えはでなそうです・・・
でも行政に任せているだけでは、何ともならんでしょうね・・・
ほんとに、何とかしなくちゃ。

ともかく、福島のみなさんとせっかくご縁ができたのですから、今後もつながっていきたいと思います。

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