「Kiryu-fu」を織る・但東町へ(2)

2011-9-1

さて、前回からのつづきです。

  参考:イロイロ「kiryu-fu」の素材説明を追加しました。

生地を織る工程を簡単にご紹介します。

杞柳布を織るのは、綜絞機(そうこうばた)という力織機(りきしょっき:機械の動力で織る織機のこと)を使用します。
  ※参考:織機 (by Wikipedia)

ピンと張った経糸(たていと)の間に緯糸(よこいと)を巻いた“シャトル”という棒状の器具を通して生地を織るわけですが、経糸と緯糸の組み方によって織りの組織が決まります。
経糸の間を1本ずつ交互に緯糸が通っている織り方を平織り(キャンバス)、2~3本とばしで交差する織り方を、表面の組織が傾斜する(綾目という)ことから綾織り(ツイル)、数本とばし(経緯5本毎に定型有)の織り方を朱子織(サテン)といいます。

杞柳布は平織りのキャンバスです。帆布(はんぷ)やシャツ地なんかに使われている一般的な織り方です。

   左画像:織機 表側   右画像:織機 裏側

 

平織りは、経糸を1本間隔で上下させて緯糸のシャトルをくぐらせます。
上下させるために、数枚の板に経糸を1本ずつ交互に固定して、その板を上下してシャトルを通す隙間を開けます。
その板のことを、“綜絞(そうこう)”といい、綜絞を固定する枠を“シャフト”といいます。
シャフトを上下してつくる経糸の隙間に緯糸のシャトルを左右に通すと、ざるの網目のように糸が織られます。
最後に“リード”と呼ばれる櫛(くし)のような板で糸と糸の隙間をトントンとたたいて密度を詰める(この作業を“打ち込む”といいます)と、生地になります。

手順はざっと下の通りです。

1 製経  糸数4400本 幅130㎝ 長さ130m
2 機(はた)こしらえ  織物の組織図に合わせた機械の設定・調整
3 経糸を機にかける  経つなぎ(経糸をつなげる)4400本
4 ドロッパー刺し
5 製織  15m/日

1反(1巻)で50mの生地の巻き物になります。
織り上がり幅:120㎝  緯糸の打ち込み(密度):80本/1インチ(2.54㎝)

原料が入荷すると、まず「製経(せいけい)」という経糸を巻くことから始まります。(約1週間)
120㎝幅の生地を織るのに経糸(ここでは綿糸)を4400本も通しますので、ばらつかないように糸をそろえるための作業です。

次に、機織り機の設定や調整で丸1日。

縦糸を1本1本結んでつないで、機に糸をかけるのに丸1日。

   

ドロッパーという、経糸が切れるのを防止するための金具(経糸が切れると機械が止まる仕組み)を糸1本につき1本ずつ差し込む作業で丸1日。

 

製経後、織り始めるまでに最低3日は費やすそうです。
経糸を通すこと、これもまさしく職人仕事です。

そして、緯糸に杞柳布となる杞柳(コリヤナギの皮の線維)をよりこんだ糸と絹(ロウシルク※)の糸を織っていきます。
 ※ロウシルク:未精製の絹糸。素朴な風合いが特徴。

厚くしっかりした生地にするため、何度も横糸通して生地の組織を緻密に織っていき(打ち込む)、8時間フル稼働で織れるのは15m程。
もちろん、機の前で微調整をしながらの製織作業となります。

合計100mを発注しましたが、これは発注に必要な最小の長さ。
生地を安定して織るためには最低100mが必要なのですが、その最小限度です。

最近は原料の需要(特に中国で)が増え、今後はロウシルクを仕入れるのが難しくなりそうだとのこと。
もしかすると、この100mを使い切った頃には原料が手に入らなくなってしまっているかもしれません・・・
本当はもっとたくさんストックするべきなのですが・・・予算の関係上そうもいきません(涙)

ひとまず、この100mを大切に使っていきたいと思います。
 
 
 
Fさんは敷地内で畑もされていて、ブルーベリーの木にはたくさんの実が!!

お土産に無農薬の完熟ブルーベリーをたくさん摘み取らせていただきました。
生でも食べて、ブルーベリージャムも作りました。
なんて贅沢なっ!
 
 
帰宅途中、寄り道をしました。
岡に登ってバッタやカマキリやサワガニを捕り、出石川のほとりの「シルク温泉」というトロトロとした泉質の温泉へ入って、赤花そばという地場そば粉を使った美味しい手打ち蕎麦(豊岡は「出石そば」で有名です)を食べて、大満足で帰る頃にはあたりは真っ暗・・・。

 

夏は日本一暑く、冬は雪が大量に降る。
静かな川が流れる田園風景で、野生の鹿もあちこちに出没。
夜は静かで星がきれい。
お米も、水も、野菜も、空気も美味しい。
畑仕事や蕎麦打ちが体験できる農家民宿やログハウスもあり、春にはチューリップ祭りなど、いろいろと催しもされているようです。
 
 
但東シルクロード観光協会
 
 
但東町は豊かな自然に囲まれた素敵なところでした。

commentする



CAPTCHA


ページの先頭に戻る