「Kiryu-fu」を織る・但東町へ(1)
2011-8-29
杞柳布(キリュウフ)を作っていただいている「たんとうライフ」さんの所在地、豊岡市但東町へ行ってきました。
豊かな自然にかこまれた町、但東(たんとう)町。
去年訪れた時に、子供たちも一緒に連れてきたい!と思っていて、今回子連れでの訪問が実現しました。
織物工場を経営されているFさんに、休日にも関わらず工場を見学させていただきました。
左画像:ジャガード織機 右画像:小幅織機
今、在庫がなくなってしまったため、追加に発注した杞柳布を織っていただいているところです。
生地を扱う現場では「生地は生もの」と言われます。
天然素材は、たとえば木工の材木でも、陶器の土でも、染色の染料でも、そして革でも、その時々の季節や気候、または作る物の用途によっても扱い方が変わるといいます。
ですから、天然素材の生地も気候(湿度や気温)でも糸の伸び縮みが違うため、糸を織って生地にする、まさにその時々で細かい調整が必要だそうです。
それは、経験と勘、熟練された職人の感覚と技術が必要とされる作業です。
生地を織る道具は、職機(しょっき)または機(はた)といいます。(by Wikipedia)
杞柳布には、綜絞機(そうこうばた)という力織機(りきしょっき)=機械の動力で織る織機のこと
が使用されています。
もちろん人力の機(はた)織機で織る手織りや、その原料の糸をつむぐ(原料の綿花や繭、亜麻の繊維等を細く伸ばしたり束ねたり、撚り合わせて糸にする作業)なんていうのは、輪をかけてひたすら没頭しなければならない、気の遠くなる作業です。
今はほとんど機械がやっていますけれど、海外では手つむぎの糸を使った織物も、産業としてさかんに行われている地域もあります。
どんな風に仕上がるのか、予想が付くようで付かないようで、面倒極まりなく、もうやめてしまいたくなるような、気の遠くなるような作業の繰り返し。
そして、予想外のことがおこったり、新しい発見があったり・・・。
手を掛けてつくったものはいとおしく、大切に思われます。
そういうことを繰り返すことこそ、ものづくりの面白さなのかなと思います。
そういえば、洋服の型紙をつくるパナンナーをしていた頃、素材によってはアイロンや洗濯などでものすごく縮んだり、または伸びたりすることがあって、そのひとつの商品をつくるために、その素材ごと色ごとにどれくらい縮むのかを実際に熱を加えたり洗濯したりの検査をして、縮率○%だから製品にすると○㎜縮むので、じゃあ型紙は縦横○㎜ずつ大きくしておこうか、なんてことを毎日毎日やっていたことを思い出しました。
日本は、世界一品質管理の基準が厳しい国です。
ひとつの形で数百枚あるいは数千枚と作るメーカーでは、流れ作業で大量に作るというのに、サイズや品質を一定に保たなければなりません。
サイズだって、品質のひとつ。サイズが極端にバラバラだったりすると、それはもう不良品なのです。
そのため誤差を数㎝程度に抑えておかないといけません。
けれど、色やまた織った生地の場所(織り始め、織終わり、違う反(巻)物)によって生地の伸び縮みが違うのです。
下手をするとあの色とこの色とでは、MサイズとLサイズの大きさが逆転してしまうことだって、あり得るわけです。
そうならないように、あれこれ試行錯誤して型紙をつくることも、パタンナーの大切な仕事です。
そういう手間をかけているのかいないかで、そのブランドの品質を測ることもできます。
まぁ、ひと昔前は全部手作業だったことも、今はコンピューターに数値を打ち込むだけでできたりもするのですが。
だから、大手メーカーの商品は、それだけ設備に投資しているので品質が安定しているとも言えます。
・・・話がだいぶん逸れてしまいました。
長くなったので、つづきは次回。
キリュウフに話を戻します。