革と素材についての考察(2026年 再考)

2026-1-13

バッグをご購入いただいたかたへお渡ししている、ヌイトメルのカードを地味にリニューアルしました。

表紙の写真は変えずにカーフのボストンバッグのままですが

中の小さすぎる文字を少しだけ大きくして文章を見直しつつ再構成した、三つ折りカードです。

素材や形やサイズがどんどん増えていく製品群については、販売の際には詳細を伝えきれていないので

各商品に説明書をつけておりますが、内容を忘れたり無くなった場合にもご確認いただけるよう。

QRコードからのウェブサイトでお読みいただけます。

(保障カードの品番を参考に、各品番のページをご覧ください)

 

カードに6年前に書いたことばを、再編して掲載しましたのでこのブログでも紹介します。

地味に続けているウェブページでも、何かしらの発見をしていただければ嬉しいです!

 

・・・・・・・

 

革を扱う仕事をはじめて20年が過ぎました。

10年ほどまえから仕入れる革の質が不安定になりはじめ、現在は継続しての同素材の入手が難しくなっています。

その理由としては、天然の素材(革の原料は主に食肉の副産物)であること、5年ほど前までは主にタンニンなめしの染料染め・素上げという、原料の状態がそのまま風合いに影響しやすい素材を扱っていたからということが大きく、現在でも状況はほとんど変わっていません。

そのため、今は少し柔軟に捉えて鞣しや染色方法にこだわらず良い素材であればその素材に適した製品を考え製作しています。

 

革だけでなく動植物由来の繊維など、天然素材をめぐるその環境は刻々と変化しています。

材料は同じ状態で同じ分量が常に手に入るわけでなく、季節や生育の環境、気候変動、世界での需要のバランスなどで素材の状態が変化したり入手が困難になったり、

様々な影響により革を製造している業者(タンナー)さんが廃業されたりして突然供給が止まることもあり、

ヌイトメルでも、現在では革の生産状況や流通の変化によって素材の変更を余儀なくされ、製作できなくなったデザインや色があります。

これからも素材の確保において安定することは難しいと考えていますので、現状として手元にある素材の特性を見極めて製作していくことになり、これから先に製作できないものや、または仕様やサイズなど少しずつ対応を変えながら製作する機会が増えていきそうです。

 

麻(リネン)は世界各地の生産拠点で、終わらない戦争や温暖化などの影響を受けていると聞きます。

木や土や鉱物もまた何らかの影響を受けて品薄になっていると聞きます。

革に限らず、生地や木材、植物や生きものを原料としていて、多くの人の手を経てつくられる素材の入手について世界の情勢や社会的要因、経済状況に左右されるのは当然のことだと気づいてからは、人の手を経るということは人の手や場所がなくなると作れないのですから、いつも同質の素材が手に入り同じ状態の製品が作れるという安定など、天然素材に関してはどこにおいてもないと考えるようになりました。

天然皮革の製品がいつまで作り続けられるのか、またその価値が認められるような価値観がいつまで続くのか、わたしたちには予測できませんし、産業、文化が移り変わり、いずれ天然の革製品が必要とされなくなる時代がくるかもしれません。

そういう変化のなかに世界中の「ものづくり」が成り立っていることを自覚しつつ、これからヌイトメルがどのようにものをつくっていけるか、これからも日々考えていきたいと思います。

 

ひとつひとつ違うのが革製品の魅力で、良いところです。

その時に手に入る革、おなじ色でも濃淡や色合いの違い、アタリやテリ、ツヤや色の変化も使い手次第、使って育ててゆく素材です。

手に取っていただいた、今のその「もの」が唯一になりますので、愛着をもってご愛用いただければ幸いです。

 

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