山羊革の紹介(2025年・ヌイトメルで使用している素材)
2025-5-30
※参考:「なめし」について
ヌイトメルでは、バッグの型や大きさ、入荷の時期によって革の適性を見極めながら、数種類の山羊革を使い分けています。その時々で使用する山羊革が違いますが、お買い上げの際に型ごとに説明書を添えていますので取り扱いについては説明書をご参照ください。
柔らかくコシがあり、表面の美しいシボが特徴の山羊革。ヤギはアジアやアフリカなどで家畜として一般的に飼育されており、山羊の皮からつくられるゴートスキン(仔山羊はキップスキン)は、主にインドやパキスタンで製造されています。
ヌイトメルでは、その原皮を国内でタンニン(渋)で鞣し染料のみで染め上げられた山羊革を使用しています。染料染めは均一で無機質な質感にはならず、味わい深い風合いに仕上げられています。
山羊革は革表面(銀面)が磨耗しにくく、柔らかくしなやかでありながら、適度に張りもあって軽いのが特徴です。
皮膚構造は成牛革よりも薄く仔牛革(カーフ)に近いですが、皮膚表面側の層に見られる弾性繊維(コラーゲン・エラスチン線維=皮膚を構成するたんぱく質の一種)が、特に表面に対して水平に密に交絡していることから、銀面(革表面)が強いという特徴があります。
また皮膚下層の線維束にはエラスチン繊維が多いうえに交絡が成牛革に比べて少なく、革の製造工程で細かい線維に解けるため、強靭で適度に張りがあり、柔軟かつ軽量という山羊革の特徴が生み出されます。
薄く軽いうえに銀面が強く磨耗しにくいため、一般には本の装丁や衣料、手袋など、幅広く利用されています。
お手入れの方法は、牛革など一般的な皮革と同様です。
(参照:お手入れ方法)
■ゴート ヌメ (山羊革/インド原皮・タンニンなめし・国産)
国内でタンニン(渋)で鞣された染料染めの山羊革。山羊革の中でも小さめで、比較的柔らかく肌理が細かく整った上質な革です。染料染めで風合いが良く、経年でよりしなやかに変化し、美しい艶がでてきます。この山羊革は柔らかさが活かされる形のバッグに多く使用しています。
▶お手入れ方法
特に頻繁なお手入れは必要ありませんが、濃色は湿気や水濡れで色落ちをする場合があります。水に濡れても問題なく使えますが、濡れたままの放置は色落ちや型崩れ、カビの原因になりますので風通しの良い日陰でよく乾かしてください。水に濡れた後に乾燥後革が硬化した場合はやさしく揉んで組織をほぐしてください。バッグ底や角の部分で表面が擦れて色が剥げた場合は、革の補修用顔料インクで補修すると目立たなくなります。
ブラック | ダークブラウン | ||
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■ゴート ヌメ (山羊革・タンニンなめし/ワックス仕上げ・国産)
国内でタンニン(渋)で鞣し、染料染めワックス加工の山羊革は、マットな風合いに仕上げられています。ワックス仕上げは比較的汚れや水濡れにも強く、アタリや艶が味わい深く経年変化していきます。上記インド原皮のゴートよりも厚手でコシが強く、しっかりした風合いの山羊革です。シボは比較的整っていますが個体差があり、大きなシボの部分も含んだ個性的な印象もあります。お手入れの方法は牛革など一般的な皮革と同様ですが、頻繁なお手入れは不要です。
▶お手入れ方法
気温が低い場所で空気に触れずに長期間保管すると、表面のワックスが白く浮き上がってくる場合があります。白い部分を手や柔らかい布で擦ると消えますが、なかなか消えない場合は低温設定のドライヤーを遠くからまんべんなく吹き付けて革を温めてから手で擦ってください。ワックスは使い込むうちに馴染んできますので、メンテナンスをしながらご使用ください。
ブラック | ダークカーキ | ||
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ゴート・フラットトート M
ゴート・フラットショルダー M
■ゴート ヌメ (山羊革・タンニンなめし・国産)
国内でタンニン(渋)で鞣された、染料染めの山羊革。通常のゴートより大きく厚手で、パーツの大きなバッグに使用しています。表面に自然な艶のある山羊革で、シボには個体差があり大きめのシボも含んだ個性的な印象です。お手入れの方法は牛革など一般的な皮革と同様です。
ブラック | |||
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→ この革を使っている商品
■ゴート ヌメ (山羊革・タンニンなめし・国産)
国内でタンニン(渋)で鞣された、染色のない素上げナチュラルの山羊革。表面に自然な艶のある山羊革で、水濡れによるシミが目立ちにくく扱いやすいナチュラルカラー。小さい革のため革中央の背のスジが目立ちますが、シボやスジも個性としてお愉しみください。お手入れ方法は汚れ防止に防水スプレーを使い、汚れないように気を付ける以外は何もしないことがお勧めです。日焼けなどで色が濃くなってからは通常の革製品と同様のお手入れ方法になります。
ナチュラル | |||
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■ゴート ヌメ (山羊革・タンニンなめし・国産)
国内でタンニン(渋)で鞣された、染料染めの山羊革。通常のゴートより厚手でコシが強く、牛革のようにしっかりした風合いの山羊革は珍しく、シボにはかなり個体差があり、大きく深いシボが個性的な印象です。お手入れの方法は牛革など一般的な皮革と同様です。
ブラック | ダークブラウン | ||
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■ゴート ヌメ (山羊革・タンニンなめし・インド産)(※2015年・廃番)
ヌイトメルで、2015年半ばまで使用していた、インド産(インドで鞣された)山羊革です。
取り扱いは国産ゴートと同様です。お手入れ・修理等があれば、承ります。
ライトブラウン | カーキブラウン | チャコールグレー | ブラック |
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線維が詰まっていて硬く、伸び縮みが少なく強いため、主に鞄のショルダー、紐を通すハトメ穴部分など、強度が必要とされる部分に使用しています。一般に「厚口(オイル)ヌメ」と呼ばれる革です。
ナチュラル色=素上げ(白ヌメ):なめし過程の途中段階で、あえて仕上げ(染色・オイル浸透など)をしていない革のことです。通常の仕上げ済ヌメ革よりも、日に焼けやすく、水・油も吸いやすく、キズがつきやすい素材です。白ヌメは比較的早く飴色(ベージュ~キャメル)へと変化していきます。ヌイトメルでは、白ヌメに植物性オイルをハケでごく薄く塗り込み、しみこませてから製品に使用する場合もあります。こうすることで、少し色が安定し、傷にも若干強くなります。
ナチュラル色以外の染料染めの牛革は、オイル仕上げ(加脂)がされています。
国産牛革では、染料を厚い革の中まで浸透させないのは、革の強度を保つ意味もあります。
ヌイトメルでは染料の入っていない断面部分はあえて染めず、コバ(断面)の仕上げは磨くのみに留め、色のコントラストをアクセントに使います。
一部、ブラック(※下画像:ブラック[2])はイタリア(トスカーナ地方)産のショルダー革(肉厚で丈夫という特性を持つ、牛の肩部分の革)を使用しています。伝統的なタンニンなめしで仕上げられたこのショルダー革には、革の中まで染料が入り断面まで黒いため、上品な仕上がりになります。
このように、「厚口牛革」といってもそれぞれ厚みや特徴が微妙に違いますので、作るものの雰囲気に合わせて数種類を使用しています。
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