自然のなかで遊びと学び

2015-6-20

あっという間に6月の後半です。
先月くらいから工房の壁のスキマにツバメが巣を作っていて、
毎日チュンチュンというヒナのさえずりを聞きながら仕事をしています。

今年はいつもより忙しかったので、駆け足で上半期が過ぎてしまいました。
そんななかでも、気持ちの良い季節に家で閉じこもってばかりいるのはもったいないので、
遠出はムリなので近場ばかりですが、
日曜は時間をつくってあちこち出かけています。

新緑が美しい岐阜の山でとったこごみを天ぷらに。
お昼ごはん中の山で見つけた交尾中のヘビ2匹。
小浜の磯で見つけた大量のヤドカリとアメフラシ。
浜に打ち上げられた無数の流木の中から、好きな形の木の棒を探し、
きれいな石ころを拾い、
平たい石を集めて、海面に思う存分に石を投げる。
自転車の練習の途中、ちいさなちいさな松ぼっくりを見つけ、
鳥取砂丘では、急勾配を砂まみれになって親子で上り下り。

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初挑戦の田植えでは、長浜市虎姫町の田んぼアートに参加しました。
絵や文字の細かい部分は田植え機が入らないため、手で苗を植えつけます。
今年はぬかるみが深かったらしく長靴で入るのは無理だったため、裸足になって。
ヒルに刺されることもあるらしいのでヒヤヒヤしながらも、泥んこの感触が素足に気持ちよく、
やりだしたら楽しくなって夢中で植えました。
その間子どもたちはカエルを捕まえるのに夢中で。

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遊びの中に学びがあるということ、子どもを見ていると感じます。
自然のなかの多様性に興味を見つけ、そこに楽しみを感じとることは、
なんでも遊びに変えてしまえる感受性の鋭いこども時代にしか体験し得ないのかもしれない。
遊園地やゲームセンターのスリルとスピード、画面の刺激に比べると、
格段に地味な、「身近な自然」のなかから興味を掘り起こすのは、
濃い味付けに慣れた舌でダシだけ味わうのと似たような感覚で。
けれど自分自身、こどものころに自然のなかで遊んだ経験は、
子ども達と遊ぶこと、遊びを伝える糧になっていると実感しています。

山の小川でスイカを冷やしたときの水の冷たさ。
おばあちゃんの畑で採れたマクワウリのさわやかな甘さ。
霜柱をざくっざくっと踏みしめる楽しさ。
クヌギの木の密のにおい。
木苺やグミの木の実の甘酸っぱい味。
秋の田んぼで、稲を刈った跡を踏みつぶす感覚。
田んぼのあぜ道に咲いたクローバーで花の冠をたくさんつくったこと。
みんなが飛び越えてわたる水路を、いつまでもひとり飛べなくてくやしかったこと。
小学校の横にある森の中の秘密基地。
  
 
決してアウトドアが好きでなかった私でさえ、子どものときに経験した自然の中でのいくつかの思い出は、他の記憶よりも色濃く、その情景とともに思い出されます。

小さな山になった公園の木々が切り倒され、土が削り取られ、
土手が整備されはじめた風景を眺めると、川や池を覗き込んだり、
生きものや草木の観察は、学校でのお勉強だけになってしまうのかもしれないと、
これも全て大人が導いてきたこと、と、気持ちが沈みます。

とはいえ、山菜をとりながら手のひらのオンラインで調べられる便利な世の中・・・
その便利さを享受している身ながら、この便利に慣れてしまうことにも、少しの不安がよぎります。
だからといって、数々の快適、便利を手放すことは、健常者だけが選択できる贅沢でもあって。

ひとりでは解決できないと思えるようなことを、あたまのなかでぐるぐると考えながら、
考える続けることが、いつの時代も必要なのだと思い、
あーでもない、こーでもないと、そのループの中に身をゆだねている状態。

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ゲームができないと友達から孤立してしまうらしいことも知っていながら、
それでもゲーム機を買い与えないと決めた限りは、それ以外の楽しみかたをできるだけ発見できる状況を作る。
どんな場所でも自分で楽しみ方を見つけ、いろんなことに興味をもってほしいから、無理やりにでも連れ出すことは、今しかできないことなんだと思ったりしています。

子どもはすぐに大きくなって、もう少ししたら独り立ちの準備をはじめ、
おとなの言うことを素直には信じなくなってきて、
いよいよ9歳の壁、10歳の壁、思春期と反抗期、
じぶんを探しながらおとなへの階段をのぼっていくのだし。

(アツコ)

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