リトアニアリネンのこと 1

2013-7-31

リトアニアはバルト海に面したバルト3国のひとつ。ヨーロッパの北東に位置します。

春は花に溢れ緑が多く、人口300万人程の、とにかく穏やかな小さな国。
とはいえ、中世~近世、世界大戦、冷戦において、ドイツ、スウェーデン、ロシアなどから侵攻され、繰り返し占領された地域です。チェルノブイリ原発の被害が大きいベラルーシのとなり。
歴史に翻弄されるなか暗い時代を強い信仰心で乗り切り、独立を果たしました。
一見はとても怖そうに見えるけれどお酒の好きな人たちで、話すと人懐っこくなるそう。第二次世界大戦中に命のビザを発行し続けた、「日本のシンドラー」と呼ばれる杉浦千畝という外交官が駐在していたためか、親日家が多いようです。

   

バルト海を挟んで北欧とも近いので、北欧と西欧、中欧、東欧が入り混じったような雰囲気。
首都ビリュニスの旧市街地は世界遺産であり、中世の街並みがそのまま残っています。
白夜の季節、夜遅くまでテラスでビールを飲みながら談笑するというような、短い夏を満喫する姿はヨーロッパならでは。

リトアニアを含むヨーロッパの家庭では身近な存在のリネン。
原料であるフラックス(亜麻)の栽培から紡績、生地の生産、製品の製造までを行うリネン繊維業は、国土が狭く比較的大きな産業が少ないリトアニアの主要産業のひとつです。国内には大小のリネン工場がたくさん存在します。
立派な建物は、ある繊維企業のオフィスと工場。

 

一面のフラックス畑に、花が咲き乱れています。

 

街にはリネンショップがたくさんあり、リネンは代表的なお土産です。
寒暖の差が大きいリトアニアでは、線維が長く柔らかい、質の良いリネンが採れるそう。

その歴史は古く紀元前にまで遡りますが、
16世紀バルト海から持ち帰られた種がリトアニアの風土に合い、背丈の高いフラックスが採れるようになったといいます。
この頃からリネンの輸出が始まりました。
フラックスの栽培には農薬をほとんど必要とせず、
線維のほかに、種はオイルが摂れたり食品になったりと大変エコな植物です。
フラックスシードオイル(亜麻仁油)は普通のスーパーでも売られていて、
クセのないサラッとしたオイルで、日本でも健康食品として注目されています。
(国産亜麻仁油は北海道でつくられています → http://www.amanosato.jp/

 
 
 
つづく。 → リトアニアリネンのこと 2

(画像提供:Faux & Cachet Inc. )

commentする



CAPTCHA


染色のこと

2012-10-18

今日は、杞柳布の草木染めについて書きます。
(杞柳布についてはこちら → kiryu-fu )

杞柳布の染色は、生地開発の当初から但東町の染色家さんにご協力いただいています。
たんとうライフの宮垣さんは、地元豊岡の伝統工芸である「杞柳細工」の廃材となるコリヤナギの皮や、出石の名産「蕎麦」の副産物である蕎麦がらを利用して、杞柳布を染めることをご提案くださいました。
染色することを「色を生地に移してあげる」とおっしゃいます。廃棄物ですので、原料をふんだんに使うことができますし、杞柳の特質(防虫・消臭の効能)も生地に移り、一石三鳥です。

 ↓ 杞柳(コリヤナギ)の皮
 

生地は1回につき1~2mを2枚ずつ、煮出しの染め工程を3回あるいはそれ以上繰り返し、染め重ねていただいています。生地が厚いので、3回以上染めないと色が移らないのだそうです。
その作業はかなりの重労働で、たった一人にお任せするのも大変だと感じていて、昨年から他の染工所へも染色依頼を検討していました。
 
 
アールブリュット=アウトサイダーアート (by Wikipedia)というムーブメントはご存知でしょうか。

一昨年フランスで「アールブリュット ジャポネ展」が開催されるなどメジャーになってきましたが、日本では1970~80年代頃(初期は1940年代)から福祉施設や作業所において、障がいという特質を活かした作品や製品、新たな価値を創造するという取り組みがありました。
クッキーやパン、焼きもの、さをり織り、編み物、刺し子、そして染色。

京都府木津市にある「いづみ福祉会」さんでは、織物や染色に10年以上取り組んでいらっしゃいます。
はじめは織物から始められたそうで、原料の糸を化学染料で染めてみたり、色々試されるうちに草木染めへと自然に移行され、今では施設で栽培された藍の生葉やローズマリー、季節ごとに近所の河原や草原で集める植物や、食堂で出る廃棄物(タマネギや栗の皮)、柿渋(山城地方は柿渋の産地)その他草木原料で、毎日様々な染色をされています。

       

私たちは常々、福祉と繋がりたいと考えていましたので、昨年からコンタクトを取らせていただいていました。
移転を機に距離も近くなったこともあって、今年の冬から何度か現地を伺って打ち合わせや見学をさせていただき、この夏頃から正式に依頼を始めました。
 
 
作業場は和気あいあいとした雰囲気で、
みなさん談笑しながら、おのおのの作業に取り組まれています。
シャイな方もいらっしゃれば、気楽に話しかけてくださるかたも。

作業場は染め班、織り班に分かれて作業されていて、染色の作業場は大鍋を煮る熱気に包まれていました。
職員のかたと一緒に作業されている利用者さん、生地を染めるその手は職人の手つきです。

       

いづみさんでは、完成したタペストリーやストールなどの作品を、年4回、奈良のギャラリーで展示販売されています。

 

 

草木染めは、原料の草木を採取する時期、煮出す時間、媒染(助剤)の種類や浸ける時間の違いなどの条件でその都度発色が異なります。
そのため、毎回微妙に色が違うのが魅力で、その絶妙な色合いが貴重だと感じます。

素材の段階で、そもそも生地が上質、そのうえこんなに手をかけて、
なんて贅沢なんだろうと、実は作り手として、これ製品化しても大丈夫?と心配になるほどなのです。
でも、やっちゃったー。これ、他では多分真似できない(というか、しないかな)です。
全てご縁の賜物。完成品は、多方面にご協力いただいた結晶なのです。

こうやって、ヌイトメルは「ものづくり」を通して「人の手」でつながるような仕事を細々と目指しています。
 
 

commentする



リトアニアリネンでバッグを

2013-7-25

暑い夏は、リネンが欠かせません。
単純に素材の雰囲気が好き、から始まったものの、
リネンのことを知れば知るほど好きになって、手放せなくなりました。
長袖長ズボンでもさらりと涼しく、
天然のUV効果もあるというので、真夏の草刈り、掃除、山遊びに重宝しています。
麻は寝具にもぴったり。麻わた入りリネンの敷きパットは、夏の夜に最適です。
そのうえ、線維の空洞が空気を含むので秋冬にもあたたかく過ごせます。

今年3月、道明寺天満宮手づくりの市に出店していたとき、
雨が降り出した終了間際にかけ込んだお店「Faux & Cachet Inc.」さん。
時間がなさすぎて数枚しか見ることができなかったものの、そのリネンの風合いはとても素敵でした。
その日はリネンパイルのフェイスタオルだけ購入。使い心地は上々です。

リネンをカバンに使うことは以前から考えていながらも、
カバンに使えるような厚手のリネンとのこれといった出会いがなかったのが正直なところ。
でも、このリトアニアリネンは、昔ながらの製法と織機で織られた素朴さが魅力的で、
これは使いたい!ということで、
その後連絡を取り、直接お会いして色々とリネンの話を伺いました。

店長のウエムラさんはとても気さくなかたで、初対面ながらいろんな話を伺うことができました。
そして、現地で知り得たリトアニアリネンの魅力をたくさん教えてくださったので、
このブログでも紹介したいと思います。
(長くなるので、次回に。)

 リトアニアのフラックス(亜麻)畑

ひとまず、ボーダーリネンで試作してみました。
いかがでしょう??

 

次回へつづく。
  → リトアニアリネンのこと 1

commentする



初めての夏休み

2013-7-20

ついに始まりました、今日から小学校の夏休み。
夏休み期間は毎日学童保育所へ、お弁当を持って通います。
夏休みとは無縁だった保育園とは違い、今年からは保護者もがっつり巻き込まれています。
来週末は地域の夏祭り。学童保護者会で、カレーの販売係です。
そう、次男が保育園の間は小学校と学童保育所、そして保育園、
それぞれに保護者会活動と行事があるのです・・・
とまぁ、グチっていても仕方がないですが。

学期末懇談会でもらった、人生初の我が子の通信簿。
なんだか感慨深いものがあります。
不安いっぱいだった入学式から、みるみるうちにたくましくなる息子。
保育園の頃は字にほとんど興味がなく、案の定、今は国語が苦手で、
左利きのせいもあるのかみごとな鏡文字を書いていたけれど、
少しずつ上手になってきました。(書き順はめちゃくちゃ)

子どもが書く字のフォルムは、どことなく愛らしい。
期間限定のヘタカワイイ文字です。

 

いくぶん暑さもマシだった今朝は、早朝から墓地の草引き(子どもは虫探し)、
夏休みの予定表を書いて、あさがおの水やりだけで満足した長男は、
第1日目から「宿題は明日から」と言いだしています。やれやれ。
そんな彼の夢は虫博士。気が付くと虫捕り網を振り回し、
最近はドッジボールに夢中で、帰宅後毎日壁を相手に特訓しています。

 

明日は参議院選挙投票日。
投票してから、三井寺の夏祭り&オーガニックマーケットへ出かけようと思います。

(アツコ)

commentする



トグルボタンのフラップショルダー

2013-7-12

普通の形のショルダーバッグです。
そういえばなかったので、作りました。
キリュウフと鹿革のコンビショルダーと近い雰囲気ですが、形とサイズを変えています。
水牛のトグルボタンでフラップを留めます。

素材は鹿革で柔らかいですが、底には芯材として牛ヌメ革を貼り合わせているので、
物を入れて持ち上げた時に、底が垂れたりしにくくなっています。
背面と内側にファスナーポケット付き、
リネンのショルダー紐は、両脇で長さ調節ができます。
この調節部分はショルダー紐が中に隠れるので、見た目にスッキリするのがポイント。

S、Mの2サイズ展開の予定で、画像はSサイズ、
A5の手帳、本などが入る大きさです。
9月から、お買い求めいただけます。

・・・・・・

(’13/9/22 追記)
上記で販売は9月からとなっておりますが、
10月工房からの風、11月以降の個展にて販売いたします。
商品ページへの追加は、個展終了後(12月)になります。

(’13/12/14 追記)
’13/12/20よりウェブ販売を始めます。

commentする



ページの先頭に戻る