ポシェットのこと 3

2011-8-6

さて、いよいよ縫製の工程に入ります。

裏地に内ポケットを縫いつけておきます。
ポケット口で引っ張られて裏地部分が破れないように、裏からテープで補強もしておきます。
最後に表に返すための穴を、裏地底部分に空けておきます。

本体と裏地をそれぞれ縫い合わせます。
立体的なフォルムが出るように、縫い代にテープを巻いて縫います。
これで、柔らかい革でもきれいに成形されます。

 

縫った部分の縫い代に「ゴム糊」という革用接着剤をつけて、縫い代をハンマーでたたいて割ります。
革はアイロンがききせんので、縫い目をきれいに見せるためには「貼りつける」ということになります。
ちなみに帆布など分厚い布製の鞄でも、縫い目部分をきっちりと折るためにハンマーでトントンたたく、という工程があります。
この工程で、表から見た縫い目部分がすっきりします。

腕ミシンという鞄用の特殊ミシンで、本体と裏地の口を縫い合わせます。

 

これを、裏地底の穴から表にひっくり返して、底の穴をステッチで閉じます。

   

やっと本体ができあがりました。

次に、ショルダーを作ります。
ショルダーには伸びが少なく強い、牛ヌメ革を使います。
分厚い革を適切な厚み(2.5㎜)に「割漉き」加工をしたものを使います。
ここで「スリッター」という、革をテープ状に切る機械が登場します。
円形の刃物が回ることによって、革を一定の幅にカットしていく機械です。

 

幅を9㎜に設定し、一気にテープ状にカットします。
革全体を滑らかにするために、コーティング加工を施します。
(場合によってはコーティングをしないこともあります。)

テープを本体に付けるための加工をします。
端を丸くカットし、穴を開けます。
ここに「カシメ」という金具で打ちつけて、テープを本体に固定します。

 

ついに完成です。

 

長々と書きましたが、作っている過程を機会があれば一度紹介しようと考えていて、このポシェットは大きさも必要な工程の種類も工程数もちょうど良かったので、今回題材として使いました。
ここまで詳しく製造過程を説明するのは最初で最後になると思います。

次回、完成商品の紹介です。

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