鹿革の魅力

2014-2-26

日本で最も古くから親しまれてきた鹿革。
日本で牛革を使うようになるのは比較的近年のことで、「革」といえば鹿革という時代の方が長かったそうです。
鹿革は軽くて丈夫で柔らかい特性を活かし、生活の中に取り入れられてきました。
その歴史は1300年前に遡り、日本古代に作られた革製品が現在も残されています。飛鳥時代から現代の弓道・剣道に至るまで武具の部品として使われており、江戸時代になると武家や庶民の間で巾着やたばこ入れ、火消し用の羽織、頭巾など、人々の生活を彩るアイテムとして利用されていました。

耐水性、通気性と保温性に優れ、柔らかさとしなやかさ、適度な伸縮性と強靭な耐久性は手入れをしなくても長期にわたって衰えることがありません。そのすばらしい特性の秘密は、鹿特有の皮膚組織にあります。
鹿は皮膚を構成する線維が他の動物に比べて群を抜いて細く、その極細線維がより集まって1本の細い線維束となり、その線維束が緻密に絡み合う構造でできています。さらにその線維にはコラーゲンをたっぷり含むため水に強いうえに老化しにくく、レザーのカシミアと言われるほど、人肌のようにしっとりと柔らかい風合いが保たれるのです。

ヌイトメルでは、奈良県にある株式会社 藤岡勇吉本店で鞣(なめ)された鹿革を使用しています。
創業1883年(明治17年)創業以来120年有余年の歴史を誇る(株)藤岡勇吉本店は、剣道や弓道などの武具などで使用される鹿革で有名な老舗です。

「素上げ」というなめしの技術で仕上げられた㈱藤岡勇吉本店の鹿革は、国内でも最高級なもので、この「素上げ」という鹿革本来の傷などをあえて隠さず仕上げる方法は、天然の皮革であることの証です。
植物タンニン(渋)鞣しの鹿革は、使い込むほどに革本来の独特の風合いがあらわれます。
これは、タンニン鞣しの革が日焼けや酸化、油分を吸収しやすいという特徴により、使うほどに柔らかく、テリとツヤがでて色が変化していくためです。※
また、革質が硬くて丈夫、コシとハリがあり、型崩れしにくいという特徴があります。
しっかりとした感触、落ち着いた色合いとマットな光沢の銀面(革表面)の質感は、タンニン鞣し独特のものです。

 ※ 色やロット、個体差によって色濃くなるもの、色褪せるものなどがあり、
  同色であっても条件によって全く同じ変化をしないのが渋なめし革の特性です。
  また、鹿革は銀面(革表面)が剥がれやすいという特徴があり、
  その擦れは鹿革独特の径年変化ともいえます。
 
   

  ● 鹿革の特性
  ・軽い
  ・水に強い
  ・硬化しにくい
  ・柔らかくしなやか
  ・通気性・保温性・吸湿性・吸水性・帯電防止性に優れる
  ・強靭で耐久性がある
  ・銀面が弱く、キズが多い
 
 ● タンニン鞣し鹿革の特性
  ・色合い、表面の質感が独特
  ・柔らかさの中にコシとハリのある革質
  ・日焼けなどによる色の変化、擦れ、テリとツヤが出てくるなど
   独特の径年変化
 
 
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