素材 1 「kiryu-fu」

2011-3-9

ヌイトメルで使っている素材をひとつご紹介します。

「kiryu-fu・杞柳布(きりゅうふ)」という布で、この生地との出会いは、2年半前に遡ります。

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「杞柳布」は兵庫県豊岡市但東町の町おこし事業のひとつとして開発されました。
国の伝統的工芸品指定を受けている「豊岡杞柳細工」の素材「杞柳(別名コリヤナギ)」の繊維を素材に加えて糸を作りだし、さらにもうひとつの伝承の技、「但馬ちりめん」織りの精緻な技術を活用し、綿・絹と共に織り上げた布が初期段階の「杞柳布」です。ちなみに「杞柳」の特性は、丈夫で軽いうえ、吸湿・調湿製、防虫効果が高いとされています。この糸で織った生地はその特性をそのまま引き継いでいるとのこと。
これを、豊岡で取れる天然原料:杞柳の皮・そばがら(特産品の副産物再利用)、ソヨゴ・ヨモギ・柿渋などの草木:で染め上げます。

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お世話になっている方からの紹介でこの素材の商品企画の協力をすることになりましたが、はじめは白地の切れ端見本だけで、あまりイメージがわかず、手さぐり状態でした。
ひとまず色についてどうするのかという時に「草木染め」を提案したところ、とてもいい感じにサンプルが上がってきました。
原料(綿と絹)ごとで染まりやすさが違うという特性を活かし、経糸と横糸で原料を変えることで格子状に染まっていました。その色ムラと水通しによる生地の柔らかさが適度にラフ感を出しており、けれどもシルクの光沢と滑らかな手触りが、ほどよくカジュアル感を抑えています。

ラフな印象なのに素材が上質なので上品な仕上がりで、これはとても良いのではないかと。
 
 
・・・しかしこの時期、わたしたちはまだ工場をはじめたばかり。本格的に自分たちのものづくりを始められるような状況ではなかったため、この素材を有効的に使うことはできませんでした。

心惹かれるまま、2年間もそのままとなっていた素材ですが、去年の冬にまた但東町の杞柳布開発担当の方から共同で企画したいというお声をかけていただき、本格的に商品化へ向け活動を再開することになりました。

ここで、このファースト「kiryu-fu」は、コスト面、素材供給の安定性で問題がありました。
ほぼ半分がシルクのため素材自体がとても高価で、それを1枚ごとに手で草木染めをするとなると、かなりのコストがかかってしまいます。
組織は緻密ながら太い糸で織られているため端からほどけやすく、鞄を作る際に生地の扱いが難しいのも難点でした。
また、素材が柔らかく、鞄として使用するにはバリエーションに乏しくなってしまう可能性もあります。

そこで、現在は生地にコシを出すために綿の割合を多くし、糸から染めたもの(先染めといいます)で織り直していて、それを新「kiryu-fu」とすることになりました。糸を「杞柳の皮」で染めたものは、その特性のひとつである防虫・消臭効果が残るそうです。

サンプルの新「kiryu-fu」もなかなかの仕上がりでしたが、現時点では試作段階で、完成まではまだ時間がかかりそうです。

kiryu-fu-bagそしてヌイトメルとしては、どうしても、このファースト「kiryu-fu」が忘れられず、オリジナルで再度作っていただくことも考えています。

(2012/4/26追記 現段階で新杞柳布は中断している状態です。現在、シルクの割合が多い、追加で織っていただいた初期タイプのものを「杞柳布」として商品に使用しております。)
 
 
素材の染色は、但東町の染色家さんにお願いし、地元の草木で染めていただいています。

市場に流通させるにはコストが高すぎて商品化できないもの、計画生産できないもの。そういうものを作ることが、わたしたちがやるべきことなんじゃないかと思います。

天然素材で作っているために、まったく同じ色は出せません。
だから、その色が気に入ったとしたら、それがその商品との「出会い」です。

そのたいへん贅沢でありながら素朴で優しい素材「kiryu-fu」のカバン、まだバリエーションは少ないですが、少しずつ作っていこうと思っています。

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