撥水ナイロン×牛革のトートバッグ

2020-10-8

2年前に少し変わった生地が2反手に入りました。キャンバスのような、厚手でハリのあるナイロン生地。

高密度ナイロンに特殊な加工を施すことによりマットな表面感に仕上げられたナイロンです。

こういった特殊生地は繊維企業が開発し商品化されているため、すでに製品になって出回っているのでそれほど珍しい素材ではないのですが、生地を個人で購入(仕入れ)するにはハードルが高く、手に入りづらいのです。

特殊ナイロンの性質である堅牢度、劣化耐久性、撥水性を保ちながら、キャンバスのような手触りと硬さ、なにより軽いうえに強い素材。

これは大きいバッグには最適ではなかろうかということで、牛革とのコンビで、大きなトートバッグに仕立てました。

以前から山羊革でつくっている大きなトートバッグと同じかたちです。

このかたちは、バッグにものを入れた状態でもきれいな見え方になるようにと、マチの構造に工夫があります。

そのため、マチの紐を結んで使えばコンパクトにも使えます。

牛革でこの大きなバッグを、8年前に友人の依頼で「仕事で出張の時に宿泊の荷物をそのままオフィシャルな場所へ持っていけるように」という使用目的のために作ったのです。

その後山羊革で商品化したのですが、山羊革は牛革に比べて軽い革ではあるものの、オールレザーではどうしても本体自体が重くなってしまい、出番の少ないバッグになってしまうかなと思っていました。

その点、こちらのナイロンバッグはだんぜん軽い。

革とのコンビでカジュアル感がほどよく抑えられているので、黒はオフィシャル、カジュアル、どのシーンでも馴染んでくれそうな雰囲気に仕上がっていると思います。

内側には長財布も入る25cmの深めファスナーポケットと、手帳やスマホ、水筒を立てて入れられる大小のポケットがついています。

サイズはLサイズ(ハンドルは長いタイプのみ)、ブラックとベージュの2色展開です。

 

10月「List:」さんでの個展では、数量限定(完売後オーダー・上限数有り)で販売いたします。

WEB(ヌイトメルストア)では、山羊革とのコンビ(ブラック)を数量限定で販売しています。

牛革とのコンビ(ブラック/ベージュ)は、WEBストアでは11月から販売予定です。

 

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PIGスエードの巾着バッグ

2020-10-6

ヌイトメルのインスタでもつぶやいていますが、

5年前ほど前から鹿革の革質が変わってきて、大きなバッグや色ものがほとんど作れなくなっています。

革の大きさが小さく薄くなって安定しなくなってきたのには様々な要因があるのですが、

なんとかうまく使うことができないかと、この4~5年ほど色々な方法を試みてきました。

結局は食肉の副産物である革。貿易や経済のことは個人でなんとかできる問題ではなく、

これは、製作する「もの・こと・方法」について視点を変えていかなければならないという答えにいきつき、

違う発想で巾着バッグをつくろう!という結論になりました。

その新しい発想でつくったのが、PIGスエードの巾着バッグです。

まず、PIGスエードとは?

豚革は、日本で唯一原料から純国産でつくられている革です。

海外の多くで豚は皮までが食用になるそうで、

ほとんどの地域で皮を食べない日本では副産物の皮を革に変えて利用しており、日本産の豚革は海外でも高く評価されています。

豚革の生産地「東京都墨田区」でつくられるこの革は、洗える革「ウォッシャブルピッグスエード」として洗濯にも耐える、高い品質を誇る豚革です。

クロム鞣し革は、これまでヌイトメルのバッグでは使ってきませんでした。

けれどクロム鞣しの革は柔らかく、発色が良く、経年であまり変色しないという特徴があり、また色移りも少ないため、その特徴はカラーバリエーションには最適なのです。

環境負荷の少ない三価クロムを使用し、適切に処理・製造されている革は、信頼できる素材だと考えます。

軽くて柔らかく、丈夫で手入れがしやすく、色落ちが少なく、高品質なうえに品質も安定している、魅力的な素材です。

 

「スエード」とは皮革の裏面を表として使う革のことで、毛羽立ちのある起毛革のことです。

ピッグスエードはヌバックのように毛足が短く、上品な美しい光沢があります。

このスエードの巾着バッグをつくるにあたって、形を少し変えようかとか、

細い紐2本で絞るタイプの巾着型にしようかとか、デザインや仕様についても考察しましたが、

結局これまでの巾着と同じかたちにすることにしました。

とはいえ、単純に鹿革を豚革に替えただけではありません。

製品にするまでにはそれなりに試行錯誤が必要で、問題点を仕様やデザインでカバーするのです。

 

クロムの豚革は軽くて柔らかいのですが、薄いために張りとコシがなく、バッグが空の状態ではクシャっとつぶれて形が保たれません。

この巾着バッグは形がコロンとまるく保形されているのがかわいいので、

底と見返しは裏側に革を二重に貼り合わせて補強し、ロープと同じ牛革のパイピングを入れ、

革が柔らかすぎてバッグが自立しないという問題を解消しました。

素材違いのパイピングがアクセントになり、なおかつ保形性もあります。

見返しに厚みがあるので、バッグ口の折り返し部分がペラペラした安っぽい印象にはなりません。

見た目の統一感を出すために、本体以外の部分使い(パイピング、ロープ、ハトメ穴)には同じ牛革を使っています。

ハトメ穴には厚く固い牛革の上にロープと同じ牛革を貼り付けて、コバ(革の切り目)をロープと同色にすることにより、クラシックな印象に仕上げました。

鹿革の巾着バッグでは、あえてハトメ穴のコバがナチュラル色になっている分厚い牛革を使っています。ツヤのでる革にはナチュラルのクラフト感が少し残るほうが好みの雰囲気に仕上がるからです。

形やデザインによって革を数種類使い分け、副資材(パーツ)を選ぶ。

こういう細かい部分が全体の印象を決定づける大事なところなのです。

今は巾着バッグにもたくさん種類がありますが、

ヌイトメルの巾着バッグが紐を1本にしているのは理由があって、

それは、下げた状態でもバッグの中に手を入れやすくするためです。

トート状でも使えるハトメ穴の位置で、1本の紐は馴染むとスルっと引っ張りやすく、片手でも中のものにアクセスしやすい。

バッグのサイズが大きく荷物の量が増えると、斜め掛けのときに細い紐1本ではMサイズくらいが重さの限界で、Lサイズくらいになると荷物の重みで紐が肩に食い込み、長時間持つと痛くなってしまう。

紐の長さ、紐の細さ、穴の位置、バッグのサイズ、等々

どういうときに何を中に入れるのか、どういう状況でバッグを使うのか、

実際に使うことを想定しながらサイズやデザインを考えています。

これまで色々と作ってきて、これは使いにくかったな、これは問題だったな、という仕様もありました。

何年も使ってはじめてわかることもあり、そういうことは随時改善していくべきと考えています。

「使いやすい」ことは、バッグにとっては必須条件であると思っていて、

日常で使いにくいものにならないように注意して製作しています。

使いやすさを兼ね備えていることは、良いデザインの基本だと思います。

そういう自分たちが「良い」と思うものを作るために試行錯誤を繰り返すので、新作づくりはなかなか進みません。

さて、そうしてできあがった、PIGスエードの巾着バッグ。

色は4色、

黒×黒

カーキ×ブラウン

グレージュ×ブラウン

ダークブラウン×チョコ

サイズは「S・MS・M・LS・L」の、5サイズ展開です。

まずは、10月「List:」さんでの個展にて、オーダーを受け付けます。

WEB(ヌイトメルストア)では、準備が整い次第に販売をはじめる予定です。

 

鹿革の巾着バッグも、ほぼ黒のみになりますが、継続して製作していきます。

 

 

(2020.12.5. 追記)

PIGスエード巾着バッグの販売は、12月のオンラインストアにて、

カーキ S・MS・Mサイズのみ販売いたします。

他の色・サイズの販売は1月中旬(1/9~)を予定しています。

 【価格(税抜)】

 S:22,000円 / MS:23,000円 / M:25,000円

 LS:30,000円 / L:32,000円

サイズ・ロープの長さは鹿革巾着バッグ各サイズと同じです。

お急ぎのかたは、12月中はメールオーダー(予約注文)も受け付け可能ですので、メールにてお問合せください。

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個展のお知らせ(長崎市)

2020-10-2

長崎市「List:」さんで、約1年半ぶりの個展です。

鹿革巾着バッグ各サイズと、山羊革バッグ、牛革バッグ、押口の財布とポーチ、

長崎でははじめてご紹介する山羊革ヌバックのバッグや、

細マチ巾着ポシェット、フラップポシェット、

「DEER×DEER HORN」のコモノ。

ナイロン×牛革のトートバッグ、スエードの巾着バッグなど、

今年秋の新作も並びます。

(新作バッグについては、近々ブログで詳細を紹介します)

    

そして、在店について。

毎回、お店に伺うのが楽しみだったのですが、

やはり今回は涙をのんでガマンすることになりました。

新しいバッグについては、このブログやインスタでもお知らせしますし、

List:さんのインスタなどでもお伝えしていただけると思います。

2020年秋のはじめての展示会、みなさまのお越しをお待ちいたしております。

 

・・・・・・・・・・・・・・

「ヌイトメルのこと」革のバッグと小物の展示会 2020

2020年10月16日(金)~26日(月)

OPEN:12:00 - 19:00

店休日:10/20(火)

 at:List:

  

(2020.10.27.追記)

List:さんでの展示会が終了しました。

会期中にお越しいただいた皆さま、お問合せをくださった皆さま、

どうも有難うございました!

オーダーいただいた商品は、できるだけ早くお届けできるよう製作いたします。

しばらくお待ちくださいませ。

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新しい挑戦

2020-9-13

急に朝晩涼しくなって、秋のはじまり、夏の終わりです。

手を動かしている時間は、同時に考えている時間でもあって、

わたしたちは、毎日新作やこれからのこと、いろいろと考えながら作業しています。

そんな日々のなか、春のあるときふと閃いて

「ベーグル」を作ることに決めました。

並べてかわいい佇まい

シンプルで、ヘルシーで、美味しくて

主食にもオヤツにもなり

食べたらなくなる。

おまけに bagel のなかに bag が隠れていることにも、勝手に縁を感じたのです。

  

やるからには、本気でやります。

毎日料理をしていて、食べるのも作るのも、ふつうに好きで、

本気でやればきっとできるという妙な自信だけはあり、

ふたりで話し合い、やってみようとなったので

自らにスイッチを入れました。

中途半端なことはしたくないので

bagの新作を作るのと同じように

素材やレシピ、工程を変えて何度も試作。

ヌイトメルをはじめたころを思い出し、

これから、ベーグルを量産し販売するまでを構築します。

試作、試食、リサーチを繰り返す日々の中で

ベーグルも作り手の個性やこだわりが強く反映されるものだと、改めてわかりました。

モチっと、ムギュと、パリッと、

ズッシリ、フワッと…

考え方が人それぞれ違うのと同じように

やはり業務的に数をこなすものと

個人店のものでは

味や食感、材料、演出も違う。

  

ものが溢れるこの時代に、ものを増やすことへの罪悪感は常にあって、

シンプルライフを素敵だと思いつつ、でも、ものを愛でることが好きで、ものを作るしかできないわたしたち。

「消える」ものをつくること、場所をつくることへの憧れもありました。

予測不可能なこのコロナ禍では、数日、数ヶ月先が数年先のように見通せず、

これから世の中の色々なところにその影響がでてくると思われますが、

自分たちなりに、創意工夫で歩んでゆくことを決意しました。

(外出を控えたいときには不要不急の極みである)バッグを

製作する合間を縫って、毎週休日のベーグルの試作期はしばらく続きますが、

その日々をブログ、インスタで少しずつ綴っていきます。

  

一方、不要不急のバッグたちではありますが、

そんなときでも必要とされるもの、ほしいと感じてもらえるものを作りたいという思いがあり

こちらの「モノづくり」も、もちろん続きます。

前々から工房内でも展示会をできないかと考えていて、この機会にその準備も少しずつすすめています。

  

1階の作業場は人の出入りがほとんどない閉じた場所だったので、

2階の展示スペース、キッチン、オープンスペースの3部屋は、

展示会のショールーム以外にも、レンタルしたり、ワークショップにも利用できるような

開かれた、人が集う場所にしたい。

料理教室、ごはん会、期間限定のカフェやショップ、

フィットネス、撮影会、勉強会、映画の上映会などなど、

使い方は色々考えられるし、

やる気になればオンラインの展示会だって、できそうです。

いずれ、気兼ねなく移動できるときがきたら、

全ての商品を手にとって見ていただけるようなショールームにしたいし、

そのとき、ベーグルも楽しんでいただければと。

   

観光地としては地味な滋賀県、大津にも魅力的な場所があるので

そういうのも少しずつ紹介していければと考えていて、

ベーグルが、人の縁をつなぐアイテムのひとつになればいいなと思っています。

  

ヌイトメルをはじめたときから考えていることは変わらず、

納得いくものをつくっていきたい。

そういう価値を共有し、誠実に届けたい。

BAGBAGEL も、そして次に続く何かも。

   

さて、もうすぐ秋ということで、10月の展示会にむけてバッグや小物も作っていきますので、また後日紹介します。

(アツコ)

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インスタはじめました

2020-9-4

うちの工房は2階建て。

1階は喫茶店→測量会社、2階は住居→社宅の、居抜きになっていた物件です。

この広い工房に移ったときから、ここで何かをしなければもったいないと思っていて、

少しずつ、壁や天井をこわして、細かく砕いて、

砂や木くずにまみれながら、少しずつ廃材を処分して、

3年かけてスケルトン化をすすめていました。

子どもに手が掛からなくなる時期をみて次に続く何かを始めようと考えてはいましたが、それがコロナ禍で急加速、

まずは、この夏ひと部屋に厨房をつくりました。

大阪にいたころからお世話になっている、オカヒロフミさんに依頼して、

7月から工事がはじまりできあがったキッチンに、

8月ぞくぞくと厨房機器が揃い、

昨日ステンレスの作業台が入って、ひとまず厨房が完成!

この厨房で、なにを始めるのかは、また次回。

インスタグラムでも発信していきます。(クニヨシ担当)

 ↓

nuitomeru

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